「天神ビッグバンは成功」「天神ビッグバンは失敗」「天神ビッグバンはこの先どうなるかわからない」など、天神ビッグバンに対する考え方は十人十色で、さまざまでしょう。
筆者のように『天神ビッグバン』について、好意的(ウェルカム)にとらえている方もいれば、批判的にとらえている方、結論を出すのを急がない方、無関心の方もいるはずです。
個人的にですが、夏に入って以降「天神ビッグバンは失敗」と主張するネットの声を拾う機会が増え、批判的にとらえている方も少なくないのだなと感じた次第です。
なぜそのような声が上がるのか、そして本当に“失敗”といえるのか、その実態を探ってみることにしました。
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この記事でわかること
- 天神ビッグバンを「失敗」と主張する人たちの主な根拠と背景
- 近年起きたテナント撤退・計画中止の事例とその影響
- 空室率や物価高騰など、再開発を取り巻く数字・データの実態
- 今後の天神エリアの都市開発にどのような変化が起こり得るか
天神ビッグバンは本当に失敗なのか?
天神ビッグバンについてプラス思考に考えていた筆者も9月はじめに、下記のニュースを目の当たりにした瞬間、「もしかすると本当に天神ビッグバンは失敗なのかも…」と少しだけセンチメンタルになってしまいました。
ワンビル(ONE FUKUOKA BLDG. ワン・フクオカ・ビルディング)は、2025年4月下旬に開業したばかりで、開業してわずか数カ月でテナントが閉店したというニュースには驚かされました。
一般論として、新しくお店をオープンさせるときには、綿密な計画と相当の資金を用意しているはずですから、資金ショートではないと思われます。
また、調べてみると福岡市にある有名なケーキ店の系列で、母体といえるお店は今も営業をしているようですし、ワンビルのスイーツ店自体の評判もわるくなく、むしろ上々のようでしたので、売り上げ不振でもなかったと思われます。
閉店理由についての文献は見当たらず、真相もわかりかねますが、試験的開業、戦略的撤退だったのかもしれません。
また執筆時現在、ワンビルに入っているテナントの閉店が相次いでいるといった続報も出てきていませんし、人の出入りがまったくないといったこともありません(筆者も9月下旬の日曜日にワンビルを訪れましたが、多くの人で賑わっていました)ので、たった1店舗が閉店したからといって天神ビッグバンが失敗だったと、結論付けるのはナンセンスだと思い直しました。
しかし、9月の終盤には「思いもしていなかった」そんなニュースが飛び込んできました。
福岡市が推し進めている、天神ビッグバンと並ぶ再開発『博多コネクティッド』のプロジェクトのひとつだった「博多駅空中都市プロジェクト」が、建築費の高騰を理由に中止という判断に至ったというものです。
場所的にはJR博多駅の在来線、竹下駅に向かう線路の真上で、KITTE博多やJRJPビルの横に並ぶような位置関係になる予定だったようです。
2022年3月16日に発出されたプレスリリースには、
・全室35㎡以上のゆとりある客室
・線路上空を活かしたトレインビューを楽しめる客室
・ゆとりと格調を感じさせるエントランスと車寄せ
のあるラグジュアリーホテルができる予定と書かれていたため、個人的には進行と完成を楽しみにしていました。
物価高の世の中ですので、建築費についても高騰しているというのはわかるのですが、一体どのくらい高騰しているというのでしょうか。
一般財団法人建設物価調査会のプレスリリースによると、2015年を100とした場合、現在の福岡の工事原価指数値(集合住宅RC造 暫定値)は140.3で、ここ10年で1.4倍に跳ね上がっているといえます。
もしかすると今後、天神ビッグバンで予定されているプロジェクトにも、中止にはならずとも計画や仕様の変更などが生じてくる可能性もあるのではと思えるようになりました。
ここまで、ご紹介してきた事例については
- お店が撤退したから失敗
- 計画が頓挫したから失敗
と言い換える(とらえる)ことができそうですが、世間的には何をもって失敗と主張しているのでしょうか。
これより、SNSの投稿などから理論を読み取り、筆者独自の考察を行っていきます。
天神ビッグバンを失敗だと主張する人の理論とは
天神ビッグバンを失敗だと主張する人の理論①若者向けのお店がない

これは、ワンビルのことを指しているのだと思いますが、ワンビルは
・福ビル
・天神コア
・天神ビブレ
の3つの建物が解体された跡地に建てられたため、当然、当時と同じような若者向けのお店が多数入るだろうと考えていた方は、少なくなかったと思います。筆者もそのように考えていました。
天神コアや天神ビブレは、一部は飲食店でしたが、若者を対象とした流行ファッション(リーズナブルな価格帯)を取り扱うお店が8割以上を占めていたと記憶しています。福ビルにはTSUTAYAなどが入っていました。
しかし、ワンビルのフロアガイドを見ると高級ブランド、高級志向のお店が多勢を占めている印象です。カムバックしてきたのは蔦屋書店くらいではないでしょうか。
さらに、情報を掘り下げていくと、ワンビルのターゲットは、30~50代の働き盛り世代という情報も見えてきました。
若者が気軽に立ち寄れそうなお店が登場しなかったことから「天神ビッグバンは失敗だ」とする声が出ているようです。
天神ビッグバンを失敗だと主張する人の理論②気軽に行けない
実は若者に限ったことではなく、老若男女がそのように考えている可能性が高いようです。
気軽に行けない理由のひとつが、高級化。かつては百貨店は高級品、ワンビルの前に建っていた福ビルなどではリーズナブルな価格帯の商品と棲み分けができていたように思うのですが、ワンビルの開業で高レベル化したといえ、地元民よりもインバウンドをターゲットにしているという意見も見られました。
今後、パルコや新天町のエリアが建て替わることが決まっており、内容によっては地元民の天神離れを加速させる材料となりかねません。
もちろん天神ビッグバンだけが原因というわけではなく、自宅から天神に行く際の値段も上がっていますので、地元民の出足が鈍くなり、財布の紐が固くなっているともいえるでしょう。
物価、税金など、ありとあらゆるものが高騰していますので、月々の収入がそういった事態に余裕をもって対応できるようにならないことには、天神ビッグバンが本来生み出すであろう経済効果が十分に発揮できない可能性はあります。
天神ビッグバンを失敗だと主張する人の理論③空室率

天神の空室率が高くなったことをもって、天神ビッグバンは失敗とする主張もありました。
空室率を増やす要因のひとつとして、需要と供給が一致しないことが挙げられますが、天神ビッグバンによって建てられた建物が供給過多の状況を作ってしまうという理論のようです。
実際、2025年6月の天神エリアのオフィス空室率は、12年ぶりに10%台をマークしました。空室率はもちろん変動し、7月以降は9%台を維持しているようです。
たしかに、天神ビッグバンによって従来よりも高い建物が建てられるようになり、容積率が緩和され延床面積の広い建物が建てられるようになりましたので、建物のキャパシティや建物内の区画を増やす結果となり、新しい物件に企業や店舗が入居しなければ空室率が高まることになります。
建物の高さについてですが、福岡市内には福岡空港があり、博多や天神にも近い距離にあるため、本来であれば航空法の規制によって一定以上の高さのビルを建設することは不可能でした。
福岡市が飛行機の高度や安全性について国などと協議した結果、従来の76m(17階ほどの高さ)から115m(26階ほどの高さ)の高層ビルが建てられるようになったようです。
現状、2025年9月に開業した「天神住友生命FJビジネスセンター」が、天神ビッグバンのプロジェクトによって建てられたビルのなかでも、もちろん天神エリア全体においても、最も高いビルとなっており、高さは地上113mとなっています。
天神住友生命FJビジネスセンターの入居率は、開業間もないにもかかわらず、内定含め80%ほどと好評のようです。
また、フクリパによると、福ビル街区建替プロジェクトが1709%と、天神ビッグバンにおけるもっとも容積率が緩和された建物ということで、こちらは冒頭でお伝えしてきたワンビルとなります。
ちなみに、ワンビルのオフィス入居率は当初65%であるといわれていましたが、現在は改善されてきたようで、内定含め80%まで上昇しているそうです。
ただし、天神ビッグバンで建てられたビルに、他の天神エリアに入居していた企業やお店が移転することもありえ、そうなると空室率は変わらないことになり、空室率の高まりを解消していくためには新たに他県、他エリアから既存企業やお店を誘致したり、地元企業のスタートアップや第二創業の支援を続けていかないといけないということになります。
天神ビッグバンを今のうちから失敗と決めつけるのはナンセンス

たしかに天神ビッグバンを失敗と主張する理論は存在し、そのように感じるできごとやニュースも見られます。
しかし、失敗は成功の基という言葉があり、失敗した状態で止めなければ後々、成功判定を受けられる可能性は残ります。
天神ビッグバンは失敗と声をあげる方もいますが、筆者は当初の計画通りでなくてもいいので、適宜、修正しながら、そのときそのときのベストを考えながら、最終的には「よか街になったね」といえる天神に成長していってほしいという考えに変わりはありません。
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天神ビッグバンは失敗?実際を分析・考察した結果まとめ
- 天神ビッグバンには成功と失敗の両方の見方が存在する
- 夏以降ネット上で失敗とする声が増加している
- ONE FUKUOKA BLDGでテナント撤退のニュースが話題になった
- テナント撤退は単発であり失敗と断定するには早い
- 博多駅空中都市プロジェクトが建築費高騰で中止となった
- 建築費は10年で1.4倍に上昇している
- 開発計画にも今後変更が生じる可能性がある
- 若者向け店舗の不足が失敗とする声の一因となっている
- ワンビルは高級志向でインバウンド重視の傾向がある
- 高級化によって地元民の距離感が広がっている
- 交通費や物価上昇も来街者の減少要因になっている
- 空室率上昇が失敗論の根拠のひとつとなっている
- 容積率の緩和で高層ビル建設が進んでいる
- オフィス入居率は改善傾向にある
- 地元以外からの企業誘致が今後の鍵となる
- 都市開発は短期では成果を判断できない
- 天神ビッグバンは修正を重ねながら成長できる余地がある
- 経済状況の変化がプロジェクトの行方に大きく影響する
- 地元の暮らしとのバランスが成功の重要な要素になる
- 現時点で失敗と決めつけるのは時期尚早といえる
