東長寺は、弘法大師空海が建立した寺院であることは知っていましたが、護摩焚きが行われていることを知ったのは、つい最近のことで、福岡在住=年齢でありながら、まったくのノーマークだったのです。
東長寺の護摩焚きのことを知っていて、以前より気になっていた方、参加したいと思っていた方は、ぜひ一度、訪れてみることをおすすめします。
本記事では、筆者が2回護摩焚きに参加して、感じたこと、気をつけたほうがいいなと思った点なども交え、東長寺についてお伝えしていきます。

東長寺について
東長寺は博多駅前から伸びる大博通り沿いにあり、「ビジネス街の中にある大きな寺院」である。そのような認識を筆者は持っていたのですが、護摩焚きに参加して、東長寺への見方が変わりました。
ここでは東長寺について、4つお伝えします。
空海が創建した密教寺院である
南岳山 東長寺(なんがくざん とうちょうじ)は「弘法も筆の誤り」で有名な弘法大師、真言宗の開祖でもある空海が、806年、33歳のときに日本で最初に創建した寺院です。東長密寺とも呼ばれています。
当初は海に近い古門戸町あたりにありましたが、江戸時代に福岡藩二代藩主の黒田忠之公によって現在の地に移されました。忠之公のお墓も東長寺の敷地内にあります。
密教は真言宗のほか、天台宗も有名ですが、その開祖である最澄は、空海の弟子として活動していた時期があったそうです。
日本で最初の霊場である

東長寺は、弘法大師空海が建立した最古の霊場でもあり、九州八十八ヶ所百八霊場の1番札所となっています。
桜の名所としても有名

東長寺の正門から見られる、桜の花が咲き誇る様子は、まるで額縁に飾られた1枚の写真のようにも見えます。
東長寺の桜を一目見ようと、満開の時期になると多くの方が訪れるのです。
博多旧市街ライトアップウォーク(千年煌夜)

博多旧市街ライトアップウォーク(千年煌夜)は、例年11月初旬に旧博多市街の寺社仏閣(櫛田神社、承天寺などとともに東長寺も)が夜、ライトアップされるイベントで、その美しさに多くの方が魅了されます。
チケットは、9月に入るとアソビューなどで販売されるはずですので、文化の日前後に博多旅行をご検討中の方などは、ぜひ事前購入し、訪れてみてください。
東長寺の見どころ
東長寺を訪れた際は福岡大仏、六角堂、五重塔をチェックされることをおすすめします。
福岡大仏
東長寺には、国内最大級の木造座像「福岡大仏」が安置されています。1992年に完成したもので、1992年5月22日に開眼法要が執り行われました。※撮影不可
仏像高10.8m、光背高16.1mで、完成まで4年の月日をかけたそう。後ろの壁面には七仏・十三仏など5300の小仏様が祀られているとのことです。重量30tと言いますが、それ以上の重みを感じます。
毎月1日の大仏護摩は、福岡大仏のある大仏殿で執り行われます。
六角堂
1842年に建立された六角堂は、覆屋(おおいや)と回転式の仏龕(ぶつがん)で構成された仏殿で、福岡市指定有形文化財となっています。
六角堂には、弘法大師像、文殊菩薩像、地蔵菩薩像、薬師如来像、白衣観音像、北辰霊符神像が安置されているとのことです。
五重塔
東長寺の本堂の左側で一際、存在感を示している五重塔は、2011年に完成。上部には空海が日本に持ち帰ったと言い伝えられている仏舎利(ぶっしゃり お釈迦様の骨)が納められています。
東長寺の護摩焚きは月2回の厳修
東長寺では、月2回、護摩焚きが厳修されています。
毎月1日 大仏護摩(大仏まつり、大仏祈願)
毎月1日に厳修されている大仏護摩は、建物2階にある大仏殿で14時から行われています。大仏まつり、大仏祈願ともいわれているものです。
福岡大仏の前で読経と同時に護摩焚きが厳かに行われていきます。護摩焚きのあと、ご住職による講話があり、そのあと僧侶に経本で肩や背中をたたいてお祓いをしていただけました。
毎月28日 不動護摩(不動護摩供)
毎月28日に厳修されている不動護摩は、本堂で14時から行われています。本堂には、左より不動明王立像、千手観世音菩薩立像、弘法大師坐像の順で安置されています。千手観世音菩薩立像は国宝・国指定重要文化財(美術工芸品)になっています。
不動明王の前にて、読経と同時に護摩焚きが行われていきますので、前方左側に注目です。護摩焚きのあとは、ご住職による講話がありました。筆者が訪れた際は、土曜日で参加された方が多かったためか、お祓いはありませんでした。
東長寺での護摩焚きにおける注意点

1日、28日に東長寺で厳修されている護摩焚きに、実際に参加した筆者が感じたこと、気をつけたほうがいいと思ったことなどを注意点として、まとめましたので、ぜひご参考いただけますと幸いです。
厳修であることを意識する
護摩焚きは、僧侶の修行のひとつです。1時間近く炎の前に着座され、熱さに耐えながら護摩木をくべて燃やしていきますので、手を合わせ、静かにその様子を拝観するようにしてください。
撮影は禁止
本堂及び福岡大仏の前に注意書きが貼られていますが、カメラモード・ビデオモードなどを問わず撮影する行為自体が禁止となっています。
スマホ・カメラの電源を切る
厳粛な雰囲気の下、着信音が鳴ると気まずいですし、他の方々への迷惑となりますので、護摩焚きが行われる前には必ず電源を切り、カバンに収納するようにしてください。
本堂に上がる際は靴下を履く
毎月28日の不動護摩は、本堂で行われます。本堂内は畳敷きで靴を脱いで上がるようになっていますので、素足にサンダルで行くのではなく、清潔な靴下を履いて行くようにしましょう。
毎月1日の大仏護摩では、靴のまま着席できますので、そのままで大丈夫です。
早めに訪れる
護摩焚きが行われる14時少し前に行くと、本堂及び大仏殿はすでに満席になっていましたので、30分前には到着するように行かれることをおすすめします。
熱中症対策
特に夏場は暑いですので、水分補給はもちろんのこと、うちわや扇子を持参するようにし、熱中症にならないよう、心がけましょう。
東長寺へのアクセス(行き方)

東長寺は、博多駅から大博通りに出て、歩いていけます。特に春・秋は、散策がてら歩いて行ってもいいでしょう。

福岡市営地下鉄経由であれば祇園駅で降りて、1番出口(博多旧市街口)の階段をあがりスグのところです。
地上へのエレベーターは、6番出口にありますが、地上に上がってから東長寺まで、少し歩くことになります。
東長寺周辺のおすすめのお店
東長寺で護摩焚きに参加したあとは、せっかくですので、周辺のお店に立ち寄ってみるのもいいでしょう。
もち吉 博多本店

もち吉は、今や全国展開をしているお店ですが、本社は福岡県直方市にあり、れっきとした福岡グルメです。博多本店は東長寺のお隣にあります。
喫茶コーナーやソフトクリームもありますので、小休憩に立ち寄るといいでしょう。
西門蒲鉾本店

大正2年創業で100年以上の歴史がある、博多の蒲鉾の老舗です。今も職人が丁寧に1本1本手作りをしています。農林大臣賞、名誉大賞、栄誉大賞を受賞していて、福岡のテレビ番組にもよく登場しているお店です。
オーソドックスな板付蒲鉾、うな蒲、ちくわ、天ぷらのほか、オリジナル蒲鉾も事前注文が可能です(12月中旬~1月中旬は繁忙期のため休止)。
光安青霞園茶舗 官内本店

江戸時代、官内町(現在の中呉服町)の地に創業し、300年以上の歴史を持つ(享保元年・1716年創業)、博多の街を代表する老舗です。
店内奥には、七福神の布袋さまが安置されており、一見の価値があります。
新茶の購入をはじめ、店内には、日本茶喫茶『茶愉 青霞』が併設されており、抹茶生チョコレートや抹茶フィナンシェ、茶のしずく(6~10月)、博多ういろう(11~5月)といったお菓子とお茶を楽しめます。
こちらの記事でも東長寺含め、博多エリアの情報をお伝えしていますので、ぜひご参考ください。
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櫛田神社や博多町家ふるさと館も徒歩圏

東長寺から大博通りの横断歩道を渡ると、その先に櫛田神社などがあります。櫛田神社の前には、博多町屋ふるさと館もあり、そのなかの施設で、2025年4月にオープンしたばかりのhakatakara(ハカタカラ)にはカフェや、物販コーナー、交流スペースなどが用意されています。

7月1日に訪れてみたところ、西鉄バス停、福岡市営地下鉄、博多祇園山笠、福岡ソフトバンクホークスのパッケージのチロルチョコなどが売られていて、いくつか購入してみました。
東長寺の護摩焚きはアート(筆者の感想)
護摩焚きに参加させていただいて感じたことは、読経の美しさ、護摩焚きの火柱の勇壮さと神秘さです。
ときに護摩焚きの火柱は昇り龍のように見え、現れては消えて、また現れては消えてを繰り返し、儚さや再生といったストーリーを思い浮かべつつ、これは「アートやん!」「なんて美しいんだ!」と思わざるを得ませんでした。
東長寺の護摩焚きに行きたいと思ったら、ぜひ、厳修を拝観させていただくことを念頭に、1日もしくは28日に参加してみてください!